除籍謄本による調査というとなんとなく難しそうですが、除籍謄本を取り寄せること自体はそれほど難しいものではありません。(取り寄せた謄本の情報を誤りなく読み取る作業は、慣れない方には結構大変だと思いますが)
とにかく、本籍地がある市町村の役所の市民課(役所によって呼び名が違う)の窓口で、「辿れるところまでの除籍謄本や改製原戸籍謄本を全て出して下さい」と言って下さい。たったそれだけで、約30分後には幕末頃に生まれたご先祖の名前やその他の事項を知ることができているはずです。
仕事の関係などで、役場が開いている時間帯には行けないという方は、少し面倒ですね。
代わりに行ってくれる方がおられるのなら代理人として行ってもらいましょう。代理人というのは、委任状さえ渡せば誰でもよいのです。家族でなくても、友人でも構いません。
なお、委任状の作成にあたっては、各市町村のホームページに委任状のフォームが添付されていることが多いので、それをダウンロードして使用する方が無難です。自分が申請する市町村のホームページを検索し、委任状のフォームが添付されていないか確かめてみてください。
問題になるのが本籍地が遠方にあるという方。
明治・大正期に都会に出たけど、本籍は動かしていないというケースはかなり多いようです。
このような場合は、郵便による請求が可能です。ただ、役場によって多少手続きが異なることがありますので、該当する役場に電話をして郵便による除籍謄本の請求方法を聞いてみて下さい。また、各市町村のホームページにも郵便による請求方法について書かれています。
ちなみに、手数料の支払は郵便小為替(郵便局で購入)を利用しますが、市町村の中には現金封筒でも構わないというところもあるようです。
父・祖父・曽祖父・高祖父・・・と、ずっと同じ場所に本籍がある方は、一箇所の役所で済みますが、本籍自体を転々とさせているようだと、転籍した先々のところの役場で請求しなければならないので、かなり厄介になります。
また、この場合、それぞれの謄本の記載事項から転籍前の前本籍地を読み取らなければなりません。さらに、昔の謄本であれば、現在とは地名も異なっているはずですので、現在のどの市町村の管轄になるのかも調べる必要があります。あまり慣れていない人にとっては、結構面倒な作業かも知れません。
除籍謄本の手数料は1部750円(一部異なるところもあるようです)です。平均4〜5部程度で幕末に生まれたご先祖の名前まで分かることが多いですから、必要金額は3000円〜4000円前後ということになりますね。もちろん、転籍を繰り返している場合は、必要部数も増えますので、さらに高額にならざるを得ません。
この程度の出費で150年前後、運が良ければ200年くらい前に生まれたご先祖のことが分かるのです。
ちなみに、私が見てきた数多くの除籍謄本の中で、最も古い方の生年は、なんと宝暦11年(1761)でした!
これはご依頼者のご自宅で拝見したもので、まだ士族・平民等の記載が消されていない時代のものです。
こんなに貴重な除籍謄本も、保存期間は僅かに
(平成22年6月1日から,戸籍法施行規則の一部改正が施行され,除籍謄本の保存期間は150年になりました!)
つまり、昭和初期に除籍された謄本もそろそろ破棄される運命にあるということです。家系の調査は、あせらずゆっくりすることは大切なことですが、この除籍謄本の取寄せだけは、出来るだけ早く済ませておくことをお勧めします。
ところで・・・本籍地をご存知ですか?
本籍地くらい誰でも知っているはずと思っていたら大間違いです。しばしば住所地と本籍地を同じように考えている方を見かけます。
「本籍は頻繁に変わっているからねー」と言われて調べてみたら、変わっているのは住所だけで、本籍はずっと動いていなかった・・ということも珍しくありません。
まずは、自分の正しい本籍地を確認してみましょう!